令和3年度 校内一泊合宿入所式 学校長挨拶
この校内一泊合宿は、40年以上の歴史のある藤嶺藤沢の伝統行事であります。コロナ禍で宿泊は出来ませんが、大塚達雄老師から授かるお教えは、変わることはありません。法話、坐禅と日本の作法、食事作法など、随所に自己を整えるお教えがあります。新入生諸君一人一人がこの合宿を経て、藤嶺学園藤沢高等学校の生徒としてしっかりと自立をし、主体的に行動が出来るようになって欲しいと思います。また、この合宿では、諸君の3年間の学習、クラブ活動、学校行事などに如何に取り組むべきか、その指針を学ぶことになります。
高校生の本分である勉強において、基礎基本の学習をしっかりと修め、各教科の学びを深め、学んだ知識、技能を活用できるようになって下さい。高校1年生に配布されるシラバスをしっかりと読み、自分が学ぶことは何かを明らかにして、一日一日を充実させる大切さを認識して欲しいと思います。
一つ一つの学校行事には、大きな意味があります。意味があるからこそ、毎年行われ続けて、それが伝統の行事になっていくのです。40年以上続けられてきたこの校内一泊合宿はその代表と言えます。この合宿の歴史は、学校の歴史でもありますが、藤嶺藤沢に在籍する生徒一人一人、卒業生一人一人の歴史でもあります。そして、この合宿の目的には、質実剛健・勇猛精進の体得とあります。しかしそれは、この合宿で、そのスタートに立つということです。この高校3年間の折々に、どこまでを体得できたかと自問を重ねていってください。
最後に、夏目漱石から芥川龍之介へ送られた小説『鼻』についての話をします。その手紙には、「あなたのものは大変面白いと思います。落ち着きがあって、巫山戯(ふざけ)ていなくって、自然そのままの可笑味(おかしみ)が、おっとり出ている所に上品な趣があります。それから材料が非常に新しいのが眼につきます。文章が要領を得てよく整っています。敬服致しました。ああいうものをこれから二三十並べてご覧なさい。文壇で類のない作家になれます。しかし『鼻』だけでは恐らく多数の人々の眼に触れないでしょう。触れてもみんなが黙過するでしょう。そんな事に頓着しないでずんずん御進みなさい。群衆は眼中に置かない方が身体の薬です。」とあります。
芥川が「羅生門」を書いたのは、東京帝国大学在学中でありました。発表当時、周囲からは酷評を受けていました。翌年、小説『鼻』を発表すると、夏目漱石は、漱石山房に顔を出していた芥川の作品を高く評価しました。この評価を得て、芥川は大正文壇の寵児となっていくのです。すなわち、褒められること、評価されることで、人はポジティブな思考や行動を行えるようになるのです。
皆さんが評価される場面は、実は身近な日常にあります。挨拶、掃除、授業態度、ノートの取り方、話す態度、聞く姿勢など、一生懸命なことに人は共感をして、評価してくれるということです。この合宿がそれらの基礎作りとなるよう期待しています。
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