山主往生
遊行寺四十八段を通って登下校している生徒の皆さんは、四十八段下の黒門付近に「山主往生」という木札が掲げられていることに気づいていることでしょう。「山主往生」=「さんしゅおうじょう」とはどんな意味でしょうか?先週のこのブログで時宗のお上人が亡くなったことを書きました。実は、時宗のお上人(遊行上人)は、遊行寺の住職を兼ねているのです。
遊行上人は「生ける仏」として崇敬され、多くの信徒を率いて回国巡行(遊行)を続けましたが、晩年に遊行を続けることが困難になると、引退して遊行寺(清浄光寺)に住むようになり「藤沢(とうたく)上人」と呼ばれ、鎌倉時代末以降藤沢上人が没すると回国中の遊行上人はその地位を後継者に譲って遊行寺(清浄光寺)に入り、藤沢上人を継ぐのが時宗の慣例となったのです。そして、現在は、遊行上人になると同時に藤沢上人(遊行寺住職)にもなるということになっています。
「山主」とは「お寺の住職」であり、「往生」とは「極楽往生」のことで「亡くなること」を意味します。したがいまして、四十八段下の「山主往生」は遊行寺の住職が亡くなったことを知らせる札なのです。遊行七十四代他阿真円上人は、五十七世藤沢上人(遊行寺住職)でもあったのです。
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