藤嶺学園藤沢中・高等学校 blog archive

高校教頭ブログ(12/4)

藤嶺広報 2022-12-04

風流踊

 去る11/30にあるニュース報道がありました。それは、「各地の盆踊りなど“風流踊” ユネスコ無形文化遺産に登録決定」というものでした。すなわち、ユネスコは、日本各地で伝承されてきた踊りなど、お囃子に合わせて踊る日本の民俗芸能「風流踊」を無形文化遺産に登録することを決めたのです。登録が決まった「風流踊」は24都府県の合わせて41件の伝統行事だそうです。
「風流踊」のリストの中に、「跡部の踊り念仏」というものがあります。これは、胸前につけた鉦(カネの一種)を打ち鳴らし念仏和讃を唱えながら、太鼓方の音頭にあわせてその周囲をまわって跳ね踊り、恍惚無我の境地にひたるというものです。
「踊り念仏」は、弘安2年(1279)、時宗の開祖一遍上人が信州佐久郡伴野庄(ともののしょう)(佐久市野沢)を訪れ、小田切の里(佐久市臼田)で初めて行ったと言われます。その後、佐久各地へ普及し、江戸時代には、一帯の村々でも行われ、仏事信仰と芸能が融合した庶民の楽しみとなっていたようです。戦前は、跡部に近い平井、日向の両地区でも踊り念仏がまだ残っていたようですが、現在まで受け継がれているのは跡部のみとなっています。
「跡部の踊り念仏」は、西方寺(浄土宗)本堂内の「道場」と呼ばれる場所で行われます。踊り手8人、太鼓方1人の計9人が一組となり、低頭し一礼して「南無阿弥陀仏」と唱えながら道場へ入ります。先頭に立つのは「讃しき」と呼ぶ音頭取りで、続いて鉦を胸前につけ撞木(しゅもく)を手に持った踊り手が入っていきます。まず「南無阿弥陀仏」を唱える平念仏があり、これが終わると全員が太鼓の音頭にしたがって鉦を打ち鳴らしながら、踊躍歓喜の乱舞を行います。その後、踊りは緩やかなテンポとなって再び静かな所作に戻り、道場を出て、次の組と交替します。すべての組が踊り念仏を終えると、知恵団子が配られ、皆で踊り念仏の福を分かち合うのです。
 ちなみに、3年前の「二祖真教上人七百年御遠忌」では、遊行寺本堂で「跡部の踊り念仏」が披露されました。