東日本大震災から12年②
今年の「3.11」には、東日本大震災がさまざまな視点で改めて語られた中で、「復興」という言葉を切り口にデータが示されたり、「復興」の現場を取材したレポートなどが放送されました。そして、復興庁作成の「復興の現状と今後の取組」では、「地震・津波被災地域」について、「住まいの再建、復興まちづくり、交通インフラ等の整備が概ね完了。復興の総仕上げの段階。残された課題に取り組むことが必要。」となっています。
「復興」が進んでいることに、被災地域以外に住むわれわれは「復興が進んでよかった」と思うでしょう。また、被災者の方々も「復興」を全否定する方はいないと思います。しかしながら、被災した方々とわれわれの間には、「復興」の捉え方に大きな乖離があるのではないでしょうか。なぜなら、「復興」がいくら進んでも「元どおり」には決してならないからです。例えば、「復興」が進んでも震災で亡くなった方々が戻ってくることはない。津波で流された先祖の遺骨もお墓も仏壇も戻らない。住み慣れた家、助け合ってきたご近所、支え合ってきた地域も戻らない。被災した方々が本当に望むことは「元どおり」であり、その根底には亡き方への断ちがたい追慕の念、また、地域の「人のつながり」や生活や暮らしの支えであった「文化・しきたり」に対する喪失感があるのです。
「復興」を否定するつもりはまったくありません。そのお蔭で被災した方々の「外傷」は確実に癒えているはずです。だからこそ私たちが思いを馳せるべきは、被災した方々の「内なる傷」の部分だと思うのです。
震災発生から12年の節目に、今感じていることを述べさせて頂きました。
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