願わくは
一昨日(3/3)、中学1年生を対象に本校OBシテ方金春流能楽師山井綱雄さんによる講演会&ワークショップがありました。これは「遊行塾」主催で、中1生に能楽への理解を深めてほしいという趣旨でおこなわれたものです。当日は山井師のお弟子さんである村岡聖美師も来校されました。これをきっかけに来年度の遊行塾では多くの生徒が「能楽」の講座を受講してほしいと思います。
さて、毎週日曜日の朝6時~6時55分にNHK-FMで「FM能楽堂」という番組が放送されています。去る2月12日には、金春流による「西行桜」が放送されました。「西行桜」(世阿弥作)は、西行の庵にある老木の桜の精の翁が、京都の春景色を語り舞うという謡曲です。
西行法師は、平安末~鎌倉初期に生きた人で、「漂泊の歌僧」と言われています。法師は裕福な武士の家に生まれ、北面の武士でありましたが、23歳の時に無常を感じて僧となりました。西行法師の和歌は2,300首も伝わっているそうです。そして、西行法師の「辞世の歌」が「願はくは花のもとにて春死なむその如月の望月の頃」です。「花」は(満開の)桜(ヤマザクラ)、「如月」は2月、「望月」は「15日=満月」です。なぜ、西行は「2月15日に死にたい」と思ったのでしょうか?……それは、お釈迦様の命日(釈尊涅槃会)が「2月15日」だからです。すなわち、お釈迦様と同じ日に死にたいと願っていたのです。お釈迦様への思慕の念に満ちていた西行法師でありますので、それはまさに望むところであったのしょう。実際に西行法師の命日は2月16日であったそうです。
さて、今年の旧暦2月15日は、明日(3/6)です(満月は明後日)。今年の暦ですとまだ桜満開とは行きませんが、例えば令和3年の旧暦2月15日は、3月29日でしたので、この年の暦であれば各地で桜が満開の頃でしょう。
最後に、西行法師は「旅の中にある人」と言われますが、日本史上の代表的な「漂泊の人」は、西行法師、一遍上人、松尾芭蕉の3人を挙げる人もいることを書き添えておきます。
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